LEAN VISITS IN EUROPEと日本の品質改ざん問題について
今月中旬、EU-JAPAN centreが主催したLEAN VISITS IN EUROPEに参加させていただいた。今回はそのことについて触れたいと思う。
LEAN VISITS IN EUROPEというのは、毎年数回行われているもので、欧州の製造業幹部を対象に、ヨーロッパに在籍する企業の工場を訪問し、そこで行われているLEAN*1を学び合い指摘し合い、より良いLEANを創るというものである。より簡単にいうと、ある企業がLEANの手法を余すとこなく大公開するというものである。
これは双方にメリットがある。まず参加者は、訪問先が生産向上させた手法や思考を学ぶことで自社のそれと比較し、自社でも導入できるか、自社ならどうすればいいかが学べる。同時にホスト先の工場は、参加者から忌憚なき意見をもらい、より良いカイゼンの指針を享受することが出来る。実際今回のホスト企業が独自に考案したカイゼンとFMEAという手法を混合させた手法を公開し、参加者はメモを必死にとっていた。またワークショップ形式で、ホストの工場にあった問題点に関してグループごとに改善案を考案し、LEANの改善が行われた。
しかし、お気づきかもしれないが、とあるデメリットが存在する。そこで私は今回のホスト企業の人にこんな質問をしてみた。
”公開したらライバル企業に手法が盗まれ、相手が有利になってしまうのではないか?”
するとその人はこう答えた。
"公開するからこそ、ライバルを含めた他企業にLEANの手法が行く。だから我々はより良いLEANを考え続けなければいけない。いつまでも同じものに胡座をかいてはいけない。"*2
加えて今度は参加者達に同様の質問をすると、皆が上記と同じような回答を返してきた。正直この回答には驚いた。良い物を創り利益を出したいから、自社のLEANを秘密にするのではなく、生産性を向上させより良い製品を創りたいと常に考えているからこそ公開する。デメリットと考えず、自社が成長する機会だと捉えているのだ。
同時に日本でどうか考えてみた。
ある程度の日本企業の品質管理・生産管理は互いにブラックボックス*3であり、
そしてタイムリーにも神戸製鋼・三菱マテリアル・東レ*4の品質データ改ざん問題がマスメディアで報道されている。日本の品質管理・生産管理は高レベルという神話は今や揺らいでいる。
日本人が考える品質管理・生産管理を、
ホストの"いつまでも同じものに胡座をかいてはいけない。"という言葉が頭をよぎった。