リトアニアのレーザー産業について
10月下旬、ご縁あって複数のレーザー企業やレーザー研究所に訪問し、R&Dの様子まで見させていただく機会があった。今回はそのことに触れつつ、リトアニアにおけるレーザー産業*1を見ていきたいと思う。
今回訪問したのは、Light Conversion、Laser Research Center of Vilnius University、Ekspla、Altechna、Altechna WOP、Brothers Semiconductorsである*2。
全ての企業で共通していたのが、アメリカへの輸出が一番多いことである。そして中国への輸出が伸びてきており、今や殆どの企業で二番目の輸出先となっている。そしてその次に日本への輸出やドイツへの輸出が多い。輸出の割合から、どの国が技術力を持っているかが垣間見れる*3。
そもそもなぜリトアニアという国でレーザー産業が盛んなのか。それは約50年前にこの国に初めてレーザーが持ち込まれたことに起因している。そこからソ連のレーザー研究拠点として研究が行われるようになり、現在に至っている。当時対外産業があまりなかったので、レーザーに特化したと言ってもいい。
今回の訪問を受け、特にレーザーファブリケーションの分野が強い印象を受けた。フェムト・ナノセカンドレーザーを使った研究がLaser Research Centerで盛んに行われている。また授業でもナノセカンドレーザーを用いた学生実験がいくつかあり興味深かった。そして、センター長の話では、レーザーに従事する学生の割合*4は増えているとのことだ。政府としても レーザーを国の一大産業のひとつとして見ている。加えて、レーザー関連産業における製品は一次産業のそれと比べ高く売れるため、従事者の給料は最頻値及び中央値のものよりも高い*5。
リトアニアにおける平均所得は600〜700ユーロ*6と言われているが、これはあくまでも平均である。政治家は庶民よりも多く稼いでおり、それが平均を引き上げている。最頻値をみればだいたい400ユーロである。そのため、レーザー関連産業に従事することは、高給取りになるチャンスなのだ。
このような背景からレーザーに従事する学生の割合が増えている。そして今後もリトアニアにおいて、レーザー産業従事者の割合は増えていくだろう。