ぼそんの東欧見聞録〜リトアニアに住んでみました〜

大学院で量子論の研究をしていましたが、訳あって1年間リトアニアで働くことになりました。4月から5月末までは英国に滞在し、その後リトアニアへ。   リトアニアも含め欧州の情報を徒然なるままに記します。

Bournemouthにおけるホストファミリー制度と地方創生

 朝鳥の囀りで目が覚める。私は現在、英国はBournemouthにいる。この地区は英国の南部に位置し、美しく海に面するためリゾート地としても知られている。イースターの現在、多くの観光客で賑わっている。

 

 

 しかしこの地区を支えているのは観光業だけではない。街をよくよく見渡すと、語学学校が多く存在していることに気づく。(私が見つけた範囲でも10つ)実際某検索サイトを使うと、20以上存在していることが確かめられる*1。世界中様々な地域や国からイギリスに語学を学びに老若男女がここBournemouthに集うのである。実はこの語学学校が存在する事によってBournemouthの経済が支えられている。

 まずわかりきったことだが、語学学校の存在により外部から人が流入してくる。そのため、語学学校の周辺の商店でお金を落としてくれる人が、学校がなかった場合よりも増える。語学学校の周辺にはカフェやレストランが多く、平日はよく学生がカフェで屯する光景も見受けられる*2

 そして語学学校に通うにあたり、必要とされるのが、ホストファミリーの存在である。ホストファミリーにはaccommodation feeとしていくらかお金が入ってくる。これが経済を支える一番の要因ではないかと考えている。これを詳しく見ていこう。

 

 

 前提としてBournemouthの物価を示そう。ランチの平均金額は、5~6ポンドである*3。下の写真は5ポンドで食べられるトルコ料理である。そしてカフェでコーヒーを飲む場合、カフェラテやエスプレッソの平均金額は約2.5ポンド、カップチーノは約2.8ポンドである。水に関して言えば、500mlのvolvicがスーパーでは0.55ポンドである。500mlのファンタオレンジ味は、平均で1ポンドである。更に、求人広告によると、クレーム対応は最大23,000ポンド、ウェブデザイナーでも最大30,000ポンドの年収だそうだ。

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 次に具体例を移ろう。例えばETCを通してのホームステイの場合、一学生あたりaccomodation feeとして一週間170ポンドをETCに支払う*4。一日あたり、24.3ポンドとなる。この中にETCの仲介料があると仮定して、一学生あたり一家庭20ポンドが毎日支給されているとしよう。すると、1ヶ月で平均610ポンド得られる計算になる。20人程度に聞きこみをすると一家庭あたり平均3人の学生を迎え入れているようである。これより一家庭月1,830ポンドもらえることになる。年間にすると、21,900ポンドにもなる。これはかなりの収入になっている。しかもこれに加えて皆自身の仕事を持っているので、年間所得としてはもっと行く。語学学校のよるホームステイ制度の恩恵により、Bournemouthの多くの人々は生活出来ているようである。

 

 

 Bournemouthの例から何が言えるだろうか。例えば日本のいわゆる地方で同じことをしてみてはどうだろうか。日本語を学びたいという人向けの語学学校を開き、ホームステイを導入する。学生にとってのメリットは日本の田舎暮らしを体験しながら、場合によっては外国語が全くわからない日本人家族と寝食をともにすることで、日本語の勉強になる。日本の田舎暮らしというのはインバウンドビジネスでも注目されているため、ニーズはあるのではないだろうか*5。また、日本人のおもてなしの心はイギリスの家庭よりも大いにあるはずで、おいしくない食事や冷たい対応、ひどい洗濯はないと思われる*6。そして上記で見てきたようにホスト側にも収入というメリットがある。ホスト制度が地方における新たな収入源となるのではないだろか。

 地方インバウンドビジネスは日本のあちこちで昨今流行っている。地方に語学学校とホストファミリー制度を組み合わせることで、新たなインバウンドビジネスが成り立つのではないだろうか。もちろん問題点も考えうるが、これが、ひいては、地方創生に繋がるのではないだろうか。

 

  気づけばもう日が暮れてしまったので、ここで筆を置きたいと思う。

*1:Bournemouth language schoolと検索してみればわかる。

*2:"多い"という感覚は、新宿駅周辺で居酒屋を含む食事どころを見つけるのと同じ感覚である。

*3:因みにサブウェイはハーフサイズで全品平均3~3.5ポンド

*4:サンプルの数は9人分しかないが、皆同じ金額だったため、演繹的に全学生が同じ金額を払っているとした。

*5:具体的なデータを取ってくるのに疲れました・・・。

*6:個人的経験に基づく感想です。