ぼそんの東欧見聞録〜リトアニアに住んでみました〜

大学院で量子論の研究をしていましたが、訳あって1年間リトアニアで働くことになりました。4月から5月末までは英国に滞在し、その後リトアニアへ。   リトアニアも含め欧州の情報を徒然なるままに記します。

リトアニア文化論Ⅰ 〜言語的側面からみたリトアニア〜

リトアニア文化論シリーズということで計3回にわたり、リトアニアの文化を深堀していきたいと思う。第一弾となる今回は、言語という側面からリトアニアを探求していこう。Vilnius大学の社会言語学Meilutė Ramonienė教授と話す機会があったので、そこでの話も盛り込んでいきたいと思う。

 

まずリトアニアにはどのようなエスニシティ*1がいるのか見ていこう。

 

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上表*2からわかるように、当たり前だがリトアニア人の割合が一番多い。隣国のポーランドやロシアからの移民*3が2番目3番目を占めている。またベラルーシウクライナからの移民も多い。これらは旧ソ連時代の名残で、ソ連時代この4カ国の民族が住んでいたことに起因している。そのため、リトアニアではこれらの言語が利用されていることが容易に思いつく。では具体的にどんな言語がリトアニアで利用されているのだろうかという疑問が浮かぶ。

 

下の表は、リトアニアの小学生を対象に調査した、自宅で話されている言語の統計データである*4

 

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リトアニア語が予想通り一番話されている。ロシア語が二位である。そして面白いことに、3位に英語がランクインしている。将来のことを考えて自宅で母語でない英語を話す家庭が増えている。また、英語の子供向け番組のほうが現地語よりも面白いということで、自宅で英語が使われることもわかっている。もちろんこの中には、しょうがないから英語番組をみせるという家庭もあり、それが英語能力の向上にもつながっている。これは面白い。リトアニアにおいて英語ができると何がいいのか。

 

ここから特にロシア語と英語に注目しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

年代が若いほうが英語の話者が多いことがわかる。逆に反比例するようにロシア語の話者が減っている。言語は年代とともに移り変わることがわかる。もともとソ連時代、リトアニアではロシア語が話されている。ロシア語が必要な仕事は、高い年齢層の人ならある程度誰でも出来てしまう*5。しかし英語と来れば、一気に牌が減る。こういった理由も英語人気に起因しているようだ。

関連してイギリスの北部にはリトアニア人コミュニティが存在し、アメリカにもいくつかコミュニティが存在している。平均月収644€*6リトアニア人にとって、英語圏のほうが高収入を狙える。そして、収入が高い人ほど、リトアニア国内でも英語運用能力が高いことがわかっている*7*8

 

今、リトアニアでは英語話者の数が増加している所得がまだ低いリトアニアにおいて、英語という言語は、高収入に繋がる必要条件となっている。そのため英語を学ぶ若者が増えている。更に、英語にとどまらず、他の言語を学ぶ若者も一定層いるのは確かで、3ヶ国語以上話せる人が今は増えている。これはおそらく、英語を話せる母体数が増えてきているので、もう英語だけでは付加価値が少ないからであろう。優秀な若者ほど、多言語話者となっている。こういった背景もあり、リトアニアに世界から企業が集まってきているということがうなずける。

 

もちろん首都のビリニュスとその他の地域では、英語話者の数に差があるのは明らかで、 首都のほうが多い。またロシア語の話者も首都が多い。

 

以上のように、言語という側面からリトアニアを見てきた。次回は、思想と慣習という立場からリトアニアを見ていく。

 

*1:民族という考えてよい。ただ正確にはNathan Glazerの定義“一つの共通な文化を意識的にわかち合い、何よりもまずその出自によって定義される社会集団”としている。

*2:出典:European Commission

*3:移民という言葉を使っているが、ソ連以前から住み着いた民族も含めている。

*4:Meilutė Ramonienė教授の調査による

*5:もちろん経歴に依拠する部分もあるが、今回は言語という議論においてと限定しておく。一方で、年齢がある程度高いほうがお年寄りとも会話しやすいということで、高い年齢層のほうが採用されやすいというのは、正しい。

*6:2017年度データ, Rankings by Country of Average Monthly Net Salary (After Tax) (Salaries And Financing)より

*7:Meilutė Ramonienė教授の調査による。

*8:注意しなければいけないのは、英語運用能力が高いから収入が高いという相関関係になっていることである。その逆ではない。

ソ連はいかにして、リトアニアで共産主義体制を築いたのか ~Gruto Parkasから~

共産主義を象徴するレーニン像は、もうほかの国では滅多にお目にかかれない。しかし、ここリトアニアでは、ソ連時代に存在した共産主義を象徴するレーニン像*1やモニュメント、新聞、橋といったものすべてが形を残し集めている場所がある。リトアニアの南部にあるGruto Parkas。共産主義時代にタイムスリップできる場所。

 

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入り口ではレーニンの頭がお出迎えしてくれる。面白いことに、入場ゲートまでの道中、左手側に、レーニンを始めとした共産主義を代表する人物の銅像がアルパカと一緒にお出迎えしてくれる。(下図)

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入場ゲートでチケットを買って、いざ内部へ。

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この施設は巨大な森林地帯に存在し、内部には、いくつか展示施設と道沿いに多数のレーニンを始めとした共産党を象徴する人物の像が配置されている。さらに動物園や子供が遊ぶ遊戯公園が併設されているという不思議な構造だ。レーニン像の横で子供がブランコで遊んでいた。

 

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銅像は、十人十色で様々なポーズをとっている。一つ一つが、力強く、権力の誇示をしている。レーニンの銅像を通し、当時どのように人々にレーニンという人物を流布していたのかが伺える。また、権力の誇示はどのようなポーズを通してできるのか、どういう構図ならば勇ましく見えるのか、分析することができる。人を見下す構図や、指をさす構図、天を仰ぐ構図、足組する構図。こういったポーズというのは、面白いことに、例えば交渉の場でも用いることができると思う。相手の優位に立つためには、自信がある余裕を見せ、ひょうひょうとして堂々な態度が必要である。こういった銅像において、相手の優位、が重要な要素である。そのため筆者は、銅像の構図が参考になると思っている。

施設には当時使われたプロパガンダ用ポスターや版画、新聞も多数目にすることができる。学校教育の場で実際に存在したレーニンの肖像画も展示されていた。レーニンの絨毯もある。レーニンの関連グッズが多数存在しており感心する。

そして当時の選挙結果に関する新聞もあり、面白いことに99.84%が選挙に行き、99.74%物人が共産党に投票したそうだ。まずこういったデータがあることが興味深いし、99.74%物人が共産党に投票せざるを得ない状況だったということも伺える。

当時、レーニンという偶像を用いて人々に思想の植え付けを行っていた。ある種、宗教的なものに通ずる。レーニンがいかに偉大で素晴らしいのかを本や銅像、肖像を通して啓き、共産党は素晴らしいものだと教育していく。リトアニアを統治したソ連は、このような改革を行った。更にロシア語を共通言語として教育する。小さいうちから教育することで、共産主義を肯定的に考える。大人に対しては、反発すれば牢に連行する。このことに関する新聞記事も実際にあった。何千名ものリトアニア人が牢に入れられ殺されたそうだ。またソ連軍により首都のビリニュスは占拠された。武力と刷り込みにより、ソ連リトアニア共産主義を拡げていった*2

この状況は、現在の某国に似ている。"偉大な"統治者を崇めるような銅像やポスターを作成し、学校でも教育する。反対するものは処刑。ソ連が崩壊したように、このままこのようなことを続けて、あの国は崩壊するのだろうか。様々な社会学者やコメンテーターはすぐ崩壊すると言い続けたが、未だに存続している。ソ連と異なる点は、例えばリトアニアのように元来いた民族のもとに、他の民族が思想を押し付けたことがないという点だ。自国と自民族の平和と安寧のため命を燃やした戦士達がリトアニアにはいた。某国ではどうか。国民に安寧は訪れるのだろうか――。

 

 

是非この施設でレーニン像を拝めに足を運んで欲しい。共産主義当時にタイムスリップすることができる。そして現代に戻って、世界を見渡して欲しい。おそらく少し見え方が変わると思う。

*1:数えていなかったが、おそらく40体ぐらいのレーニン像が存在している

*2:もちろん単純にこれだけではないが、この2つが大きな要因である。この施設にもそのことを示唆する新聞記事などが存在する

リトアニアのCulture Nightから視る「活古創新」〜藝術の一夜〜

2017616()リトアニアが首都ヴィリニュスでは、Kultūros Naktis(Culture Night)と呼ばれる行事が行われた。18時から深夜2時まで行われたこの行事に、この日は良しとばかりに子供も夜ふかし。老若男女問わず街中に繰り出していた。

 

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そもそもこの行事は、2007年に始まり、芸術音楽文化を暗闇で楽しむ*1をコンセプトに、毎年この時期に行われ、今や700団体ものアーティストが参加するまでになった。博物館や美術館が無料で夜遅くまで開演し、街中に制作物と製作者があふれ、有名歌手が路上でコンサートを行い、市役所(後述)では野外演劇が行われた。更に政府の施設もこの日だけは一般に公開される*2ヴィリニュスの彼方此方で甘美な旋律や歓声、電子音が鳴り響く夜。

もちろん疲れたら、レストランで食事をするもいい、カフェでコーヒーとケーキを食べるもいい。はたまたバーでビールを飲むもいい。飲食店も休む間もなくこの日だけは夜ふかししているのだから。

 

 

個人的に藝術と掛け合わせることで芳醇な親和性を生み出していたものを2つだけ紹介したい。キーワードは「活古創新」*3である。

 

ひとつ目は、町外れにある廃墟。しかし、中は少々リノベーションされ今は作品展を行ったり、身体表現の劇場として使われていたりもしている。

 

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この夜、フランスを中心に日本舞踊を取り入れた身体表現をするSakurako*4がパフォーマンスをしていた。日本舞踊の要素が身体表現の随所に散りばめられていながら、西洋の踊りを組み合わせた動き。非日常の世界へと観客を引き込んでいった。この廃屋だからこそより一層観客を魅了する身体表現だったと思う。

 

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ここで強調したいのは、廃墟を身体表現の場としてリノベーションすることで、非日常性を引き出し、更に町外れにあるにもかかわらず、多くの観客を引き寄せる効果が見られたということだ。廃墟をそのままに、窓ガラスを新しくし、照明や音響設備を継ぎ足し、危ない段差を取っ払っていた。まさに「活古創新」である。

 

ふたつ目は、市役所。外観は神殿のように美しい。その外観を活かし、この日はオペラ「アイーダ」が野外公演された。街のど真ん中でオペラが流れると人々は足を止め注目する。昼間市役所だった場所が劇場に変わり人々は魅了される。日常空間に非日常を持ってくることで、自由に出入りできる空間を創り、面白いオペラになった。これもまた「活古創新」である。一時的ではあるが、古い建築物の市役所を舞台セットと劇場として利用する。

 

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 古きを活かして新しくを創る。ラメダスとアイーダのようにただ地中に埋もれさせていては、もったいない。新しい利用方法を考え利活用する。ここ、ヴィリニュスでは、それが藝術だった。古いものをいかに活かして藝術を表現するのか。他にどういう組み合わせが存在するのか。これらを考える事自体ももしかしたらこの企画の狙いなのかもしれない。

何はともあれ、ヴィリニュスを観光するならば、このKultūros Naktisの時に訪問するのがおすすめだ。あまり知られていない藝術の一夜を楽しめるからだ*5

*1:The best way to enjoy art, music and culture is in the dark. After all, before a movie at the cinema the lights are turned off, before a performance theater also turns off all lights, before orchestra or group performance concert hall are darkened. Only darkness lets us dive into the culture, also it release our imagination and let us enjoy the surrounding processes. Just plug the light and the magic will disappear.(HPより引用)

*2:私も実際リトアニア最高裁に潜入し裁判長の椅子に腰を添えさせていただいた。

*3:古きを活かして、新しきを創る。自分で思いついた言葉であるが、念の為検索エンジンにかけると6件だけヒットした。古いヒットで2010年。先を越された感はあるが、ここではオリジナルのものとして使わせていただく。

*4:日本で数年にも渡り、華道や茶道、剣道、能といった”道”を修めている。

*5:2017年6月現在において日本ではあまり知られていない。

インタビュー:英国で働く日本人に見る、働き方とワークライフバランスについて

先日、イギリスの語学学校ETCマーケティング担当として働く日本人、積田真奈美氏にお会いした。英国という土地に身を置く立場として、日本と英国の働き方の違いについて伺った*1

日本とイギリスの働きやすさの違いは何か――。

 

 

――まずはじめに、どうして英国で働こうと思ったのですか?

 

 大学を卒業後、英語を使う仕事がしたくて、日本で、英会話教室の営業として働いていました。もちろん給料も良かったから(笑)。

 でも英語って目に見えないものだし、顧客にどうやって価値を見せるかが大変だった。更に、自分の考え方と会社の考え方に相違があり、仕事に行き詰っていたの。そんな折、たまたま職場で知り合った英国人男性とお付き合いすることになったのよ。彼も同じような悩みを持っていて、英国に帰ると言ったの。だから私も勢いに任せて英国に行くことにしたの。お互い日本でなにか閉塞感みたいなものを感じていたから。

 英国に来てから仕事を見つけた。たまたま夫が働いているところで、マーケティングのポストが開いていたから応募したら、見事採用された。

 

――英国で働いてみて、閉塞感は感じますか?日本との働き方の違いなど教えてください。

 

 英国のほうが女性の地位が認められていてすっごい仕事がしやすい。日本では、どんなに頑張っても結局は男性が上。上司はほとんど男で、産休は日本では取りにくい。本当によく聞く話だけど、職場復帰したところで、同じ条件で働けるわけがないのに、働かせようとする。子供がいるから定時で帰ろうものなら、いいように思われなかったり嫌味を言われたりする。もちろん全ての日本の職場がそうとは言わないけれど、私の周りはすべてがすべてそうだった。女性として働こうとしても、先が読めない。そういう意味で閉塞感を感じていたのかもしれないね。

 でも英国は、さっきも言ったように女性の地位が保証されているの。どんどん上にもいけるし。しかも職業面接の時、性別や年齢を聞かない・気にしない。ありのままの自分を見てくれるの。日本では”What are you?”*2が重要だけど、こっちでは”Who are you?”*3のほうが重要なの。だからピアスをしていようが、タトゥーをしていようが、髪が染まっていようが関係なく、仕事ができるかどうかが重要になる。

 関連して、給料は野球の年棒制みたいになっているの。月に2,3回給料がもらえるから、こっちの人は基本貯金しないよね。「自分今週これだけ稼いだのか。」って思って、お金あると使いたくなるでしょ(笑)

 あとは、よく言われることだけど、こっちの人は自分中心だね。人の仕事を助けるという感覚は英国人にはない。日本の場合は、他の人の仕事を助けて、上司が帰るまで先に帰れないという暗黙の了解みたいなものがあるけど、イギリスはそういうのがない。定時になればすぐ飛び出していく。

 さらに、英国は副業が認められているとこが日本と違うね。私も副業しているし。他にもこっちの人は、趣味の時間を大事にするから、そこから自分磨きしたりして、次の仕事につなげたりすることもできる。ワークライフバランスがとても整っていると思う、日本だと、遅くまでずるずる仕事して、そのせいで次の時間が直前まで決まらない。疲れて趣味の時間も取れない。日本人は仕事が趣味かもしれないね。

 

――ここまで、話を聞くと英国のほうが職場環境が優位のように感じますが、逆に英国での職場に対する不満はありますか?

 

 職場によるのかもしれないけど、こっちの人は意外にも仕事が遅い。もちろん期限内にしてくれるんだけどね。そして仕事が雑。

 あと、職場にゴミが落ちていても、拾わずにそのままにしておく。これは、ゴミ拾いの仕事を奪ってはいけないという思いがあるのかもしれないけれども、基本落としたものは拾わない。そこかな。

 

――最後に、一言お願いします。

 

 他者を助けたりと、日本には日本の良さがあるのは確か。でも働き方改革云々言われている今こそ、女性の働き方を見直すことが大事。”Who are you?”を大事にし、女性の地位を認めている英国に働き方のヒントがあると思う。

 

私はこの対談を通して、2点思ったことがある。

(1)日本の丁寧さ

(2)日本における働き方改革の議論

 

(1)日本の仕事のほうが丁寧と感じる場面が非常に多い。身近な例で示すと、店員と清掃が挙げられる。店員は、商品の梱包が雑だったり、そっけなく商品を渡すことがほとんどである。日本のスーパーでは殆どの店員は丁寧に対応してくれる。またこちらのトイレは、掃除後でも汚い。日本のトイレの綺麗さには、本当に驚く。日本には「お客様は神様」という考えがあるから仕事が丁寧なのかもしれない*4

この丁寧さは、確かに海外では日本の武器になると強く感じた。

 

 

(2)英国と日本の年間平均労働時間を比較することにした。*5

 

  データからもわかるように、日本人のほうが労働時間が多い。更に上記の日本のデータには、残業時間が含まれていないので実際はもっと多く働いている。もちろん、単純に労働時間を比較して、多い少ないの議論はあまり意味がないように思える。実際アメリカのほうが年間平均労働時間は日本よりも多い。例えば、労働生産性=GDP/(就業者数×労働時間)を算出し、そこから働き方の効率を比較する方法もある。実際に、2015年度を比較すると、

 英国 =86,490ドル

 日本 =74,315ドル

である*6

英国のほうが効率がよく見えるが、このような比較をしても、GDPに依拠するので*7、100%自身を持って「英国のほうが効率よく仕事をしていることが定量的にわかる。」とは断言できない。

しかしながら、真奈美氏が指摘するように、多く働いている方が、自分の時間が取りにくいことは確かである。自分の時間を確保し、ワークライフバランスを整える。そして、重要なことは、最小時間で最大効率の仕事をすることではないだろうか。 

 働き方改革は、最小時間で最大効率という最適化問題を解くことだと思う。

*1:もちろん個人の感想であり主観的な部分もあるが、日本にいる日本人よりも日本と英国を比較でき、日本を客観的に見れるのは確かである。

*2:自分がどこ出身で、どこに属していたのか。いわゆる学閥や肩書。

*3:自分がどういう人間なのか。何ができるのか、どんなことがしてきたのか。

*4:一方で、この結果モンスターカスタマーが日本で生まれるのも確かである。

*5:出典:"OECD.stat", 2016.

*6:"OECD.stat, 2016"のデータを使用し計算した。

*7:日本は現在新しいGDP体系(2008SNA)を使っているが、データは旧体系(1993SNA)を使用していることもある。2016年度データが見つからなかったのでやむを得ず2015年のデータを使用。

Bournemouthにおけるホストファミリー制度と地方創生

 朝鳥の囀りで目が覚める。私は現在、英国はBournemouthにいる。この地区は英国の南部に位置し、美しく海に面するためリゾート地としても知られている。イースターの現在、多くの観光客で賑わっている。

 

 

 しかしこの地区を支えているのは観光業だけではない。街をよくよく見渡すと、語学学校が多く存在していることに気づく。(私が見つけた範囲でも10つ)実際某検索サイトを使うと、20以上存在していることが確かめられる*1。世界中様々な地域や国からイギリスに語学を学びに老若男女がここBournemouthに集うのである。実はこの語学学校が存在する事によってBournemouthの経済が支えられている。

 まずわかりきったことだが、語学学校の存在により外部から人が流入してくる。そのため、語学学校の周辺の商店でお金を落としてくれる人が、学校がなかった場合よりも増える。語学学校の周辺にはカフェやレストランが多く、平日はよく学生がカフェで屯する光景も見受けられる*2

 そして語学学校に通うにあたり、必要とされるのが、ホストファミリーの存在である。ホストファミリーにはaccommodation feeとしていくらかお金が入ってくる。これが経済を支える一番の要因ではないかと考えている。これを詳しく見ていこう。

 

 

 前提としてBournemouthの物価を示そう。ランチの平均金額は、5~6ポンドである*3。下の写真は5ポンドで食べられるトルコ料理である。そしてカフェでコーヒーを飲む場合、カフェラテやエスプレッソの平均金額は約2.5ポンド、カップチーノは約2.8ポンドである。水に関して言えば、500mlのvolvicがスーパーでは0.55ポンドである。500mlのファンタオレンジ味は、平均で1ポンドである。更に、求人広告によると、クレーム対応は最大23,000ポンド、ウェブデザイナーでも最大30,000ポンドの年収だそうだ。

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 次に具体例を移ろう。例えばETCを通してのホームステイの場合、一学生あたりaccomodation feeとして一週間170ポンドをETCに支払う*4。一日あたり、24.3ポンドとなる。この中にETCの仲介料があると仮定して、一学生あたり一家庭20ポンドが毎日支給されているとしよう。すると、1ヶ月で平均610ポンド得られる計算になる。20人程度に聞きこみをすると一家庭あたり平均3人の学生を迎え入れているようである。これより一家庭月1,830ポンドもらえることになる。年間にすると、21,900ポンドにもなる。これはかなりの収入になっている。しかもこれに加えて皆自身の仕事を持っているので、年間所得としてはもっと行く。語学学校のよるホームステイ制度の恩恵により、Bournemouthの多くの人々は生活出来ているようである。

 

 

 Bournemouthの例から何が言えるだろうか。例えば日本のいわゆる地方で同じことをしてみてはどうだろうか。日本語を学びたいという人向けの語学学校を開き、ホームステイを導入する。学生にとってのメリットは日本の田舎暮らしを体験しながら、場合によっては外国語が全くわからない日本人家族と寝食をともにすることで、日本語の勉強になる。日本の田舎暮らしというのはインバウンドビジネスでも注目されているため、ニーズはあるのではないだろうか*5。また、日本人のおもてなしの心はイギリスの家庭よりも大いにあるはずで、おいしくない食事や冷たい対応、ひどい洗濯はないと思われる*6。そして上記で見てきたようにホスト側にも収入というメリットがある。ホスト制度が地方における新たな収入源となるのではないだろか。

 地方インバウンドビジネスは日本のあちこちで昨今流行っている。地方に語学学校とホストファミリー制度を組み合わせることで、新たなインバウンドビジネスが成り立つのではないだろうか。もちろん問題点も考えうるが、これが、ひいては、地方創生に繋がるのではないだろうか。

 

  気づけばもう日が暮れてしまったので、ここで筆を置きたいと思う。

*1:Bournemouth language schoolと検索してみればわかる。

*2:"多い"という感覚は、新宿駅周辺で居酒屋を含む食事どころを見つけるのと同じ感覚である。

*3:因みにサブウェイはハーフサイズで全品平均3~3.5ポンド

*4:サンプルの数は9人分しかないが、皆同じ金額だったため、演繹的に全学生が同じ金額を払っているとした。

*5:具体的なデータを取ってくるのに疲れました・・・。

*6:個人的経験に基づく感想です。

前説:

 ブログを始める前に簡単に経緯を説明しよう。大学院で理論物理(超伝導)を専攻していたある時、Vulcanus in Europeというプログラムが目に入った。詳細はリンクを見ていただければわかるが、簡単に言うと一年間欧州企業でインターンシップができる金がもらえて海外に行けてラッキープログラムで、外国語の語学研修まで付いている。頭が超伝導していた私は、息抜きがてらどうにかこうにか締め切り前日に書類を書き上げ、当日東奔西走し、書類を提出しに行った。

 

 どうにかこうにか1次2次選考を通過した。3次選考は欧州企業とのマッチング面接であった。ドイツ・フランス・スペイン・・・。見知った国が並ぶ中、その5文字があった。(※正確には英語で書かれていたので9文字)

リトアニア(Lithuania)

スタートアップが盛んであり、杉原千畝のおかげで親日家が多い国である。そしてgooglenasdaqが投資先としても近年注目している*1。一方で、日本人がほとんど住んでおらず、あまり行かない国。現地の情報もあまり手に入らない。加えてVulcanus in Europeではまだ誰も行ったことがない国。非常に魅力を感じた。

 

 ふと、岡本太郎の言葉を思い出した*2

よく考えてみてほしい。あれかこれかという場合に、なぜ迷うのか。こうやったら食えないかもしれない、もう一方の道は誰でもが選ぶ、ちゃんと食えることが保証された安全な道だ。それなら迷うことはないはずだ。もし食うことだけを考えるなら。

 そうじゃないから迷うんだ。危険だ、という道は必ず、自分の行きたい道なのだ

 

  別にリトアニアを危険と言いたいわけではない。しかし王道のドイツや華のフランスから逸れた、我々日本人のあまり知らない国であることは間違いない。

 

 そんなこんなで無事企業との面接も終わりリトアニアに行くことになった次第です。

 前説終了。

 次回から真面目に書きます。

 

*1:https://japan.zdnet.com/article/35066046/

*2:自分の中に毒を持て より